1.
朝、目が覚めたぼくは、不思議な夢を見ていたことに気がついた。
ぼくは夢の中で「光希」と呼ばれていて。
そして、誰だか知らない人を「松澤さん」と……
前からこういうことはあった。
夢の中ではぼくはいつも「光希」と呼ばれ
毎回出てくる女の子を「松澤さん」と呼んでいた。
その夢の内容はいつも、飼い主さんが読んでくれたお話と同じ。
台詞は少し違うけれど、起こることは全て一緒。
……それがなぜなのか、ぼくには分からなかった。
……このお話を全部聞き終わったら。
わかるのかな?
この不思議な夢の事も。
なぜかわからないけど、飼い主さんが大切に持っている、
そのベージュのケースに、見覚えがあることも。
だから、今日も言葉を持たないぼくは、おねだりするんだ。
お話の、続きを……と。
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