9.
気がついたら、ぼくは泣いていた。
なみだが止まらなかった。
飼い主さんは語るのをやめて、ぼくのほうをじっとみつめた。
そして、ぼくをぎゅっと抱き締めて。
「大丈夫。大丈夫だから…
もう、泣かないで。」
そう言って、体をなでてくれた。
やだよ。
こんなバッドエンドなストーリーなんて
聞きたくないよぉ……。
ぐすん…
いつまでたっても泣きやまないぼくを、
飼い主さんはずっとぎゅってしていてくれた。
その温もりがきもちよくて。
ずっとこうしていたいなって思っちゃう。
「ごめんね、こんなに暗いお話して。」
飼い主さんは、ぼくの背中を撫でながら言った。
「…けどね?」
「……にゃあ?」
「…貴方は、この物語を知っておくべきだと思ったから……。」
ぼくにはその意味はわからなかった。
だって、だんだんねむくなってきて…
もういいや。
ここで…ねちゃおうかな…?
前編へ 続編へ
TOP 目次
投票 感想 メール登録