~タカラモノ~
「あ、だいしんゆうになった!!」
「ほんとうだ!」
ゆーくんが私にたまごっちをくれたあの日から、ゆーくんと私はさらに親しくなった。
「こいびとまであともうちょっとだね!」
「そうだね!」
私もよくは覚えていない。
たまごっちはそれら同士で通信を行うと、「しりあい」、「ともだち」、「しんゆう」、「だいしんゆう」、「こいびと」……だっただろうか?ともかくそのようにして関係が進んでいくシステムになっていた。
だから私達はよく二人で通信をして、なんとか「こいびと」以上にして二匹のこどもを産ませようとしていた。
けれど、
毎回「だいしんゆう」で終わってしまっていた。
あの頃から少し…ませていた、とでもいうのだろうか。
周りよりも少し大人びていた私は、ゆーくんに恋のようなものをしていた。
もっとも、今思い返してみると、それは恋ではなくただの友情だったような気もするが。
「すきだよ」
そう言えば
「ぼくもみーちゃんがすきだよ!」
そう、少し照れたように笑うゆーくんとの関係も。
年齢の関係もあって、
決して「だいしんゆう」より先に進むことはなかった。
…けれど。
「あぁ、そっちのたまごっちはもうけっこんしちゃったのー?まただいしんゆうでおわり……」
「…じゃあつぎ、こんどはちゃんとけっこんさせて、ぼくたちのたまごっちのこどもをつくろうよ!」
そう、二人で仲良く喋って、遊んで、笑って。
そんな日々があの頃の私にとってとても楽しくて、幸せで、大切だったんだろうなと。
そう、思える。
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