~出会い~
「……みすずちゃん、っていうの?」
……とある、保育園兼、体操クラブ。
友達を作って欲しいとお母さんが私をそこに通わせ始めた、その初日。
「じゃあ、みーちゃんだ!」
その子は私にふわり、と微笑んだ。
私はあの町に引っ越してきたばかりで、友達がいなかった。
なんとなく自分から話しかけることもできずに、部屋の隅っこで一人で寂しくおもちゃで遊んでいた、そんなとき。
声をかけてくれたのは、あの頃の君だった。
「ぼくはね、ゆうたっていうんだ!
ね、いっしょにあそぼ?」
そう言って、君は私に手を差し出した。
でも私は、そういう態度を取られるのが初めてで、どうしていいかわからなくて。
元々内気な性格だった私に初めてできた、一緒に遊んでくれる存在に、どう接したらいいかわからなくて。
ただ、首を振った。
…でも、君は。
「……いっしょにあそぶとたのしいよ?ほら、いこう!」
そう言って君は私を無理矢理立たせて、私をトランポリンのところに連れて行った。
年中の私たちにとって一人で登るには少し高いトランポリンの上に彼はよじ登ると、ぴょん、と跳ねて。トランポリンのばねを活かして、高く高く、跳んだ。そして、ぴた、と着地すると、再び私に手を差し出して。
「ほら、ここ、たかくとべておもしろいよ?みーちゃんも、はやくはやく!」
そう言って、私の手を取った。
初めて跳んだトランポリンは、
少し怖くて、不安で。
でも、とても楽しかった。
「……あの…」
「…なに?」
「なまえ、なんだったっけ?」
私の問いに、君はふふ、と無邪気に笑って。
「ゆうただよ!」
そう元気に答えた。
つられて私も少し微笑んで。
「…じゃあ、ゆーくんだ。」
そう言うと、君は近づいてきて、再び笑うと。
「やっとわらってくれた!
さっきからぜんぜんわらってなかったから、ちょっとしんぱいだったよ?」
そう言って、再び笑った。
この時、
君と……ゆーくんと、
私、みーちゃんは
友達になった。
生まれて初めてできた友達。
…大切にしよう、
そう心に誓った。
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