5.

ふと目を覚ました俺は、
治療室で横たわっていた。
包帯であちこち巻かれていて、すこし苦しい…
それに、体が痛い……

周りの話を聞く限り、
俺はどうやら先程まで危篤の状態だったらしく、
俺の意識が戻ったことは奇跡に等しいらしい。

『期限は長くて10日間』
その言葉が思い出された。
やっぱりあれは…あの夢は、本当だったのか…?

何やらぺたぺたとよくわからないものが体に付けられて、
一通りの検査を終える。

看護婦らしき人が外に出ていって声をかけたと思えば、
松澤さんが中に入ってきた。
おいおい、ここ集中治療室だぞ!?
人入れて…いいのか…?

松澤さんは俺を見て、
少し驚いて、それからとても悲しそうな顔をした。
「ごめんな、松澤さん…
色々、迷惑かけて……」

俺にはそれしか言えなかった。

松澤さんの瞳から零れ落ちるものを見た俺は、
本当は「泣くな」って言って
そっと近くにいてあげたかった…
抱き締めてあげたかった…

けれど、看護婦はさっさと俺を移動式のベッドに乗せて、
病室へ運んでいった。

ふと松澤さんの方を見ると、
少し寂しそうに微笑む姿が見えた。
14/06/07 22:53更新 / 美鈴*
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