その頃。〜緑青、紅〜
恵side
緑青色、か……
なんていうか、微妙な色だな……
緑っていうか青っていうか…
金属の錆の色だよな、これ。
なんでこんな色まで入ってるんだ……?
「よっ恵!」
「ん?」
考え事をしていた私の背後から、聞き慣れた声がした。私は後ろを振り向いた。
あぁ。やっぱりこいつか。
いつもどーりニコニコしてなんか鼻唄歌って手をヒラヒラさせて…。
はぁ。なんでよりによってこんな時にもこの赤メガネなんだ?
「はぁ。なんだ圭輔か。」
「はい圭輔ですがそれがどうかいたしましたか?」
あぁ。うざい。なんか凄く腹が立つ。
やっぱりこいつといると腹立つ。
そんなうざい圭輔は、眼鏡と同じ赤色の服を着ていた。
いや、赤というより、紅か?
……どっちもそんなに変わらないか。
「恵は緑青か……金属の錆の色だな♪」
なぜ私と同じことを考える……
あぁ。
やっぱりこいつといると……
すごく、腹が、立つ。
前編へ 続編へ
TOP 目次
投票 感想 メール登録