4.

「…私も、元は人間でした…
しかし、私は訳あってこの世界を作り出し、
ここで一人、貴方が来るのを待っておりました…」
考え込む俺にそっとシュニーは語りかける。
「俺を……?」
「貴方のように、強き後悔を遺したまま世を去ってしまわれた方々…
そう、貴方のような方を待っていました…」
「………。」
「貴方の後悔は…何ですか…?」

俺は、静かに話し始めた。
喧嘩をしたこと。
意地を張って、謝らなかったこと。
松澤さんを、傷付けてしまったこと。
それでも、松澤さんは俺に優しくしてくれたこと………
…そして………

「…そうですか……」
そんな俺を、シュニーはただ何も言わず聞いていた。

「貴方は今…何をしたいと思っていますか…?」
…え?
そりゃまぁ…できることなら…
「あっちに戻って、松澤さんに謝りたい…かな…」
シュニーはそっと俺の手を握って。

「じゃあ、行きましょう。」
そう声が聞こえると共に、床がが蒼白く輝き出す。
「貴方を、向こうの世界に送ります。
貴方が命を落とす一瞬前へ……
いくら私でも、一度命を落とした存在を、長い間彼方に留める事は不可能です。
期限は長くても10日間…
それまでに、自分の後悔を晴らしてくださいね…!」

その声が、この世界で聞いた最後の音だった。
14/06/07 17:49更新 / 美鈴*
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