5.
コーヒーを飲み終わった飼い主さんは、ぼくにきいた。
「……いつもいつも、私が部屋に入るとき……いつも、あれを見てるよね。」
そう言って、あのベージュの箱を指差した。
「……あれがなんなのか…気になるの?」
ぼくはうなずいた。
見せてもらえるんだったら見せてもらいたいな!
だって気になるもん!
「………そう。」
飼い主さんはほほえんだ。そして、小さな声でつぶやいた。
「…やっぱり。」
いくら小さな声でも、ねこの耳は敏感だから、普通に聞こえるんだ。
だから、飼い主さんの言葉は、はっきり聞こえた。
…やっぱりって…どういうこと?
ぼくが首をかしげると、
「…ううん、なんでもない…きっと気のせいね。だってあなたは…猫だもの。」
…気のせいって……どういうこと?
どういう意味??
ぼくがねこだから……なんなの??
………どういうこと??
「さて……お話の続きね……」
ぼくの考えをさえぎるように、飼い主さんはまた話し始めた…………。
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