3.
ほんとにもう…なんなんだろうな?
この夢……
なんとかしたいっていう訳じゃないけど……
せめて、この夢がなんなのか知りたいんだ。
毎日毎日、似たような夢。
そう、まるで誰かの日常を描いたような…
誰か…っていうより。
「光希」っていう人の、日常?
…もう考えないようにしよう。
そう思って、ぼくはベッドから抜け出した。
寝起きはなんでか分からないけど、頭が痛い。
頭痛持ちなのかな?ぼく。
外を見てみたら、少し暗くなってた。
ぼく、結構長いあいだ寝てたんだ……。
部屋には飼い主さんはいなくて、あのベージュ色の箱は、机の横に置いてあった。
ぼくはそれが気になって、近寄ってそれを見つめてみた。
箱には取っ手がついていて、その取っ手になにか書いてあった。
【K.S.】
……どういう意味??
ぼくは猫だから、文字が読めないんだ。
だから、なにが書いてあるのかは、ぼくには分からなかった。
飼い主さんが、部屋に入ってきた。
ぼくが箱を見つめているのに気がついて、飼い主さんは言った。
「それが気になるの…?」
「にゃぁ。」
うん。気になる。
「それはね……」
「……にゃ」
「……大切だったヒトの
大切だったモノ。」
飼い主さんは、どこか遠い所を見ているような、そんな感じだった。
最近飼い主さんはいつもこんな感じ。
どうしちゃったんだろうな?
飼い主さんは、いすに座って、ぼくにきいた。
「お話の続き……話そうか…?」
珍しいな。
飼い主さんから、言ってくれるなんて。
ぼくはうなずいて、飼い主さんのひざの上に座った。
「それじゃあ、お話の続きを話すね………」
前編へ 続編へ
TOP 目次
投票 感想 メール登録