2.
そこまで読むと、飼い主さんは少しうつむいて、
「…続きは明日。
今日は…これから、私は勉強と、あと楽器の練習もしないと。」
そう言って、自分の部屋に戻って行っちゃった。
勿論ぼくも付いていったよ。
だって、一人じゃ寂しいもん。
飼い主さんは、フルートを取り出した。
銀色にキラキラ光る、フルート。
大切に使ってるんだな。
だって、傷一つ付いてない。
そんなに大切な、フルートなのかな……?
でもね。
そんなフルートよりも、飼い主さんが大切にしてる物がある気がするんだ。
あの、ベージュの箱。
楽器が入ってるらしいけど、何が入ってるのか分からないんだ。
フルートの入れ物よりももっともっと大きくて……
なんか、すごく気になるんだ。
飼い主さんは、フルートを吹き始めた。
家で飼い主さんが絶対に吹く曲があるんだ。
「you」って曲なんだって。
少し悲しいメロディなんだけど…
ぼくは、この曲、好きだな。
あと、もう一つあるんだけど……
ぼくは、その曲の名前を知らないんだ。
…けど。
前からどこかで聞いた事がある気がするんだ。
…なんなんだろう……?
なんで、聞いた事ないはずの事を知ってたり
見たことないはずなのに見たことある気がしたり……
…ちょっと、おかしいのかもな。
…寝たら、治るかな。
ぼくは、少し早めの昼寝をする事にした。
前編へ 続編へ
TOP 目次
投票 感想 メール登録