3.
「シュニー…さん…」
俺は確認するように呟いた。
名前としては、女性らしい…か?
「さん、なんてつけなくても良いですよ。
シュニー、そう呼んで頂ければ…」
不意に聞こえたその声に、俺は不思議と従ってしまう。
「じゃあ、シュニー…。」
…なんだ?
なんでこいつは、シュニーは、
そういう些細なことを気にする?
「…過去の…もう一人の私は…」
そう、シュニーはぽつりと独り言を言うように。
うつむいて、呟いた。
「…『さん』なんかつけずに、
私を呼んで欲しい、と望んでおりました……
…それに。」
シュニーは、顔をあげた。
「貴方に敬語を使われるのも、
あまり…しっくりこないのです。」
そう言った目の前の人は、寂しそうに微笑んだ…気がした。
何せ、仮面で素顔が見えない。
どんな表情をしているのかも
男性か、女性か、それさえも…
…わからない。
前編へ 続編へ
TOP 目次
投票 感想 メール登録