13.
久しぶりにみた風景に、
久しぶりに見たあの人。
『久しぶりですね。6日ぶりですか?』
「そうだな。」
シュニー・グリュック。
この数日間ずっと、彼の正体について考えてはみた。
けど、わからないことが多すぎて止めた。
ともかく、謎の人物。
『下界での生活は楽しいですか?』
「まぁ、それなりには。病院からは出られないし、ずっと寝てばかりで暇だけどな。」
はは、と笑うとつられてシュニーも笑った。
こうしていると、なんだか松澤さんと一緒にいるような感覚に囚われる。
けど、きっと気のせいだ。
『楽しんでいただけてるならば、
私も頑張ってる甲斐があるというものです。
あと何日かは、なんとか持たせますので、ご安心を。
私の力の限界…下界に貴方が行かれて丁度10日目、240時間ぴったりで私の力は切れてしまいます。
その前の1日ほど、少し力が弱くなったりするかも知れませんが、どうぞお気になさらず…』
「そうか…
…なぁ。質問してもいい?」
『何なりとどうぞ。』
俺は数日間の疑問をぶつけた。
「シュニーは、何者なんだ?」
答えてくれるはずはないと思っていたが…
『雪です。』
「…は?」
シュニーは少し微笑んだ、気がする。
『シュニー・グリュック…
幸せな雪、という意味です。
…まぁ、そういうことですよ。
お分かりでしょうか?』
いや、わかるも何も。
「謎が深まった。」
『でしょうね…
さて、もうそろそろ別れの時間です。
また、会いましょう。
その時まで……』
目を覚ます。
最早見慣れた、自分の家のものじゃない天井を見つけて、俺はため息をひとつついた。
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