読切小説
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緑の家
悪い夢を見ていた気がする…
なんか、つるみたいなものに体を縛られて、宙吊りにされる夢…

「うー…」
圧迫感に目を覚ます。
途端に目の前に広がる緑。

「はぁーーーーー!?」
朝から大声で叫ぶ私…
さぞかし迷惑だっただろう。

これは夢だよね?悪い夢の続きだよね??
ほっぺでも、つねってみようか。
そう思ったけれど、私の体は夢と同じくつるが絡まっていて、思うように動けない…

落ち着け。
まずは落ち着いて状況を分析しよう…

まじまじと目の前にある葉っぱを見つめる…
この形…どこかで…

キョロキョロと辺りを見回すと、日常的に見るあの緑で細長い………!

「…あぁもぅっ!」
力任せに腕を引っ張ると、つるは案外簡単に千切れた。
そこにあるであろう窓を開けて、隣の家にいるはずのアイツに文句を言う。

「ちょっと!きゅーりっこれどういうこと!?」



「よい…しょ…っと」
窓からなんとか入ってきたのは、例のあいつ。
少し身を屈めて眠そうに辺りを見回す。
そして一言
「なぁるほどなぁ…」
と呟いた。

「なるほど、じゃなくて!
あんたの仲間でしょっなんとかしてよ!!」
「いつから僕はこいつらの仲間になった…?
ったくもぅ…
おーい。もうそろそろ戻れよー」
なんて声をかけてみても、まぁ何も起こるわけなくて……

「きゅーりのくせにっなんでできないのーっ!!」
なんて言うのもまあ理不尽な要求。
「僕はきゅーりじゃねーし!」

なんて喧嘩をしていても何も始まらないので…

私たちは結局、二人でで仲良く、胡瓜狩りを楽しみました。
全然楽しくなかったけど。
ことある毎にきゅーりのやつチビだのなんだの言って来やがって!
毒付きながらも手を休める暇はない。

そんな私たちを、
にやにやしながら家の外から見ていた一人の少女がいたことに
私たちが気付く事はなかった。
14/05/27 21:36更新 / 美鈴*

■作者メッセージ
……っていう夢を見ました(笑)

胡瓜を大繁殖させたのは最後に出てくる少女、もとい私です(笑)

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