連載小説
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烏の舞う広間で〜群青〜
……さて。
ヒントを得て、行くべき場所はなんとなくわかったんだけど…
「どこ行けばいいの!?」
「僕に分かると思ってるの?」
即答って…少しぐらい考えてよ!
「陽くんなら賢いしわかるでしょ!?」
何その言い方、って目で見下ろされた。
怖くはないけど、なんかやだ。
「広間とかありそうな大きな建物見当たらないし、広いところって言ったら広場だろ?だから地図で広場探してそこに行けばいいでしょ?」
「あ、そっか。」
通信機(というかスマホ)の画面にマップを出して、しばらく見た後陽くんは、
「ここが一番近い広場」
そう言って、私たちの今いる場所から数百メートル離れた所を指差した。
「よし!じゃあ行ってみよっか!」
「そうしようか。」

ちょっと喋りながら何分かかけて広場に着いた。
「もしここだとしたら何かあるのかなぁ……?」
私はキョロキョロ辺りを見回した。
もしここに何かあったら、ここであってるってことになるし、もし何もなかったらさっさと別の広場に行かないといけない。

…んー、特に何もないかなぁ……?
なんかよくわからない銅像?があって
その影に烏が何匹かいるだけだし……
「……烏?」
烏…烏の舞う広間…もしかして。
「僕の勘は当たってたみたいだね」
「とりあえず烏がいる方に行ってみよ!」
私と陽くんは駆け出した。

ある程度近付くと、烏は何処かに飛んでいった。
そして。
「…ん?そこに誰かいるの?」
銅像の影から人が…って大きい!?
えっ170後半いきそうな陽くんよりも大きい!?うっそ!?
見た目…185あるかないかぐらい…かなあ…
えっしかもなんか威圧感感じるんだけど………

「……そんなに怖がらなくても……」
少し慌てる私にそう言ったのは陽くんじゃない。
もしかしてさっきの?
見た目に反して優しい声なのね……

身長ばかりに気を取られてたかなぁ…
改めてよく見てみる。
年齢はだいたい…30ぐらいなのかなぁ?少なくとも同年代じゃないし成人はしてると思う。
少しくせっ毛で、暗めの茶色の髪の毛を真ん中で分けている。
眉毛は太め、かな?
顔がちょっと怖い感じがする。
カッターシャツの上にベージュ色のカーディガンを着て腕捲りしていて、下は普通の黒いスーツっぽい。
……え?
ユニフォーム着てない?
「なぜユニフォームを着ずにここにいるんですか?
というかうちの生徒じゃないですよね。ここで何をしているんですか?」
陽くんが勇敢に質問攻めをしていく。
「え!?え、えーと…その…」
あ、困っておられる……

「えっとね、俺なんつーの?NPC?
だからユニフォーム着ずにここにいるんだけど…
何をしてるかっていうのは…ちょっと話せないかなぁ……」
ちょっと口下手なのかな…
っていうかNPCって何?
「ノンプレイヤーキャラクター…
なんて言うかなぁ…僕たちは、自分がプレイヤーとしてここにいるだろ?だから俺たちはプレイヤーキャラクター。
つまり、プレイヤーがいないキャラクター…コンピュータによって何をして何を話すか全てプログラムされてるキャラクターのことって言えばいいのかな…?
つまり、意思がないっていうか……
あれ!RPGとかに出てくる村人みたいなもんだよ!!」
陽くんが私に必死に説明してくれた。
まぁ…なんとなくは、わかったかな?

「まぁそんな感じで合ってるよ…多分。
実は俺にもよくわかんない…はは…」
そうやって笑う顔はさっきの印象と違って、なんだか頼りない感じ。
…よくわかんないな、この人。
「自分はNPCだって言っちゃって良かったんですか?」
陽くんが苦笑いしながら言った。
男の人はビクッとして、
「…言っちゃダメだったかも。
俺NPC失格だ……」
そう言ってしょぼんとした。

なんだろう。
最初の印象は、なんだか大きくて怖いって感じだったけど、
ちょっとしゃべってると、見た目とは真逆な気がしてくる……

なんか、一言で言うと、
「大きな小動物」って感じ…なのかな…?
14/10/11 11:20更新 / 美鈴*
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■作者メッセージ
NPCを入れてみたかっただけ。
本当にそれだけ。
けど…入れてみたもののNPCっぽくない気がするのは私だけでしょうか?

このNPCですが、
私と同じアニメ見てた人は少し「ん?」ってなるかもしれないです……(汗)

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