連載小説
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意識不明〜山吹〜
由希side

切れてしまった通信機を握り締める。
機械の向こう側から突然あの紅いヤツの声が聞こえてきて、止める間もなく通信を切られてしまった。
うぅ…寒い………

「へくしっ」
ここに来て何度目かのくしゃみをする。
やばい。悪化してきた気がする。
どうしよう。このままだとかなりまずい…
早くここから出ないと…

そう考えているにも関わらず、
体はどんどん重くなっていく。
頭もぼうっとしてきた。
立っているのも辛い。

「小原さん!」
遠くの方で声が聞こえた。
…幻聴かな?
だとしたら私、相当危ない状態だよね…

あーもう立ってられない。
このまま倒れこんでしまおうかな…
どうせ地面は雪。痛くはないでしょう。
うん。少しだけ、倒れてそのまま寝てしまえば、きっと少しはよくなるはず。
そんなことを考えていると、
ものすごく強い風が、私の背を押した。
ただえさえふらふらしてた私は、さっき考えてたのと同じようにそのまま顔から雪に突っ込んで…?

「小原さん!!」
倒れる私を抱き止めた何か暖かいもの。
「小原さん!大丈夫!?」
さっき聞こえたのと同じ声。
幻ではない。これは確かに。
原田先輩だ。
「……ぅ……。」
返事をしたいのに。声が出ないよ……。
呻き声のようなものしかあげられなかった。
…そのせいか、先輩を更に心配させてしまったようで…
「小原さん!小原さん!!」
ちょっ…そんなに揺さぶらないで……
頭が…ぐわんぐわんするぅ…
やめてぇ…本当に意識飛びそう………

原田side

揺さぶってみても、呻き声をあげるだけで、全く動かない小原さん。ほとんど意識もないみたいだし、かなりヤバそうな状況。
せめてここから出よう。小原さんをリタイアさせるのはそのあとでいい。
けど…

ちら、と小原さんを見る。
…可哀想、だよな………。
今なら、さほど小原さんに気にされずにここから出られるか?
いやでも……

その頃、外。
「いっそ思いっきりやっちゃえばいいのにー」
「おもしろくねーなー」
「つかこっちもいい加減暇になんだけど。僕らもうどっか行っていい?」
「私はまだここにいるつもりだけど…?置いてくつもり?」
「うっ…………」

原田side
あぁもう知るかよ!!今後の気まずさとかもう知るかっ!!
羞恥心よりも、生存本能が上回った。
もう一度、ちら、と小原さんを見てから、
「……ごめんな。」
そう一言呟いて………
14/07/25 23:35更新 / 美鈴*
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■作者メッセージ
前章について、
リア友が変な勘違いをしていたので言っときますが……
BL違いますからね?
というかそもそも、拓実は部屋の中に入ってません。
圭輔と一緒に入ったのは恵です。

前章最後に出てきた人たちは、
圭輔、拓実、恵、彩野の四人です。
誰が何を言ったのかはご想像におまかせします。

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