廃線の跡

導くものを失った
細い二本の交わる事ない路を
草が無かった事にしようと
覆い伸び隠す先を
私は見失わない様に歩いてゆく

そこに夢と呼べるものなど無い事を
知りながら知らぬふりをして
足跡も残らぬ草の上を
踏みしめ噛みしめ歩いてゆく

嘗て活気に満ちた風を纏い
走り抜けた連なる鉄箱の代わりに
音もなくユルリ ユルリと


25/07/06 07:11更新 / 憲治
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