黄ばみはじめた日差しが
白枯れたすすき河原を
にぎやかに照らし

根雪を抱かなかった冬の
いつになく薄緑色した空を
白鳥たちが翔けていく

民家の錆びたトタン板は
人の営みと時の流れを
ひそやかに物語り

いつか また
土に還ることを夢見てる

重なり合いをやめて生まれた
離散的で排他的な“もの”たちが
ふたたび重なり合おうと
ぼくの耳もとで囁く

淋しい 淋しい
ぼくは君を知っている
ぼくは君で 君はぼくだ
また ひとつになろうよ

黒髪を後ろに結った女の子を
元気な男の子たちが
かけっこで追い越していく

君らと ぼくら
なにも違わない

頭が良くても 悪くても
かけっこが好きでも 嫌いでも
人気者でも ひとりぼっちでも

子どもでも 大人でも
男でも 女でも
そのどちらでなくても

酷い目にあったり
あわせたり

たがいに喜んだり
悲しんだり

もしかして
誰かの光になったり

ぼくが死に
君らが生きていくことに
なんの違いもない

この世界は
紛れもなく君らのものだ
あとは君らにお任せするよ

24/02/12 08:24更新 / しそら
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