せめぎ合い

 神の玉座はやっぱり
 空いていることが
 いちばんかな

 誰が座るんだろ
 恐いよね

 あのやっかいな代物は
 どう撤去できる?

 撤去できるにしても
 移動する先が困るよ

 最終処分場の誘致に
 地元住民は大反対

 あの忘れたい思い出は
 忘れられないからこそ
 忘れたい思い出として
 忌々しく残っている

 忘れたい思い出が
 忘れても覚えてても
 どーでもいい思い出
 になることを願う

「私 決めたの」
 と言われてもね
 どうしてそうなった?

 時は金なり

 答えを探して
 決断を先送りする
 優柔不断な僕と

 答えが見つからなくとも
 勇気ある跳躍で
 結論に辿り着こうとする君と

 マスターピースへの
 妄想を諦めきれない
 オールドタイプの僕と

 今ここにあるピースで
 何がしかを築き上げていく
 プラグマティックな君と

 答えなき時代の
 自由な風の中で

 ヒーローでも何でもない
 僕ごときが
 あーだこーだ言ったって
 結局 時間の無駄で

 というか
 そもそも無価値な
 僕の時間消費は
 0価値×消費時間=0 で
 もはや 時間の浪費ですらない
 と自虐を言いたくもなる

 あぁもう めんどくさ
 食って寝て呼吸して
 年老いて死ぬ
 それだけでいいや

 映画が始まり
 ず〜と見せられて
 そのうち終わる

 それだけさ

 水は低きに流れ
 流れた先が低い
 ということか

 なるようになり
 行く処へ行く
 望む未来かどうかは
 別として

 答えなき時代の中で
 決断と結論が
 バッタの大群みたいに飛び交い
 ときにぶつかり合って

 それでも
 このせめぎ合いの間だけは
 あの空席の玉座も
 きっと安泰さ


21/06/17 12:31更新 / しそら
作者メッセージを読む
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c