解釈

昔の冒険映画のワンシーン

「ジョーンズ先生、
 そんな汚らしいところで
 いったい何をしているんだい?」

「お前も降りて来い。
 そしたら教えてやる!」

「それは遠慮しておくよ。
 上の方が居心地が良いんでね」

大みそかの夜
へろへろになって家に帰り
テレビを点けると画面の向こうで
Mr.Childrenが寂しげに歌いだす

♪今日は 何もなかった
 特別なことは 何も

何もない…平穏無事?!
そりゃ何よりの幸せだろ
退屈ってか? もの足りないってか?
相変わらず余裕かまして歌いやがる

アンニュイな気分でいられるのは
今どきの日本じゃもう
学生か"勝ち組"ぐらいだろう

…こんな些事で刺々しくなる
自分の狭量が嫌で そして
とりあえず”嫌”と表明し
済ましておく自分の卑怯も嫌で
あぁ もう
”嫌”ばかり言ってる自分が嫌で
あぁもうイイヤ
すぐに投げ出す自分も嫌
今までどれだけのものを投げ出してきた?

彼が続けて歌う

♪ある時は 悲しみが
 多くのものを奪い去っても

はぁ? 逆だろ
日本語おかしいだろ
悲しみが奪うんじゃなくて
奪われたから悲しいんだろ
レトリックを弄んでやがる
これだから詩人なんて嫌いなんだよ

…でも

やがて 隠された暗号に気づいた
この悲しみって"津波"のことなんだと

そう解ってからは
涙が溢れて止まらない

♪次のシーンを
 笑って迎えるための演出

だとは未だに思えないけれど…

♪誰の目にも触れないDocumentary filmを
 今日も独り 回し続ける
 そこにある光のまま

いい音楽だな
昔 ZABADAKが歌っていた言葉を思い出す

♪誰にも知られず 消えていく強さ
 ただ旅すること すべてはその中に

誰もが胸に秘める
それぞれの孤独
言葉で表現できたとしても
それ程たやすくはない

誰もが解ってる

21/02/15 05:23更新 / しそら
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