恐怖
孤独も憎しみも
立ち去った
静かな大地で
独り素直に
咲いている
あなたを見つけると
言葉のない時代の
視覚的で原始的な
悦びが
胸の奥から
沸き上がってくる
柔らかな春の日差しに
身をゆだね
ざわめくそよ風の優しさに
身を震わせる
しばらくこうしていたいけど
もう行かなくちゃ
猟犬どもを従えた
狩人たちが
やってくるよ
喉の奥から
真っ赤な悦びを
ほとばしらせながら
意気揚々と
やってくるよ
だから もう 行くよ
恐怖で肢が
すくまないうちに
この四本の肢で
あなたのことを
踏まないように
僕は行くよ
さようなら
TOP