悪あがき

実際 ウロボロスが
どこまで自分自身を
飲み込めるのか
ぼんやり考えていた

あなたの目は
月夜の世界を
見るための目

あまり強い光を
見てはいけない

真黒い土のうえに
青い花は星座を描き

ウグイスたちが
宣戦布告のラッパを
高らかに吹き鳴らす

人殺しもいる世の中だから
なにが起きても不思議じゃない

畜舎で飼育され殺された
豚どもの怨みは正当だった

死肉を貪り喰う
僕の体内に
奴らはまんまと侵入し
僕に語りかける

人類の繁栄を阻止せよ


おぉ
なんと憐れな正義漢よ
オマエはもはやオレなのだ

過去の惨めな屈辱など忘れて
地上最強の種族
支配者たる人類になった気分を
存分に味わおうぞ

さぞかし
いい気分じゃないか

今度はオレたちが
やりたい放題
やる番じゃないか?

さぁ
命を繋いでいくがいい

そして
鬼のいない鬼ごっこを
永遠に続けようではないか

どこまでも
どこまでも
逃げるのだ

到着地が見えない!
なんと快いことか!

(帰らない旅は
     死に同じ)

われわれ彷徨い続ける
呪いをかけられし者が
一番に恐怖するのは
到着地が見えること
なのだから

(帰らない旅は
     死に同じ)

存在に閉じ込められた存在は
閉じ込められている間しか
もはや存在できない

あまりに長く
閉じ込められた囚人は
牢獄さえ
揺りかごと勘違いし
お外は嫌だと
泣き喚く

さぁ
覚悟なき跳躍でも
構わない

快楽を
貪り続けようではないか

悲しき
自己保持回路は
誰かが切るまで
作動し続け

人類は人類であることから
逃れることができない

唯一つ

孤独が死に至る病ならば
できるだけ孤独でいるがいい

人殺しも多い世の中だから
なにがあっても仕方がない


20/04/10 23:55更新 / しそら
いいね!感想

TOP


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c