放課後の石鹸を描く覚悟

僕は走る。泣きながら

まるで握ったこぶしから砂が落ちてくよう

少しでもゆるめれば失くしてしまいそうで

大切なものが消える瞬間は

こんなにも突然なのか

限りある人生の時間の中では

全ては選択できないと聞いた事あるけど

この一砂粒は落とさない

怒りなのか悲しいのか

涙が出てきた

君が描いてと見上げた群雲は遥か遠く

それでも笑顔みたくて向き合うキャンパス

君が雲なら、僕は雲と旅する風になりたい

風すら描こうと覚悟を決めて

白布を覆う茜色の入道雲と

雲の下にはあすなろの木を一本

それから、

それからあと一色で完璧。


SOSにも似た君の声

あと一色か。SOSか。

僕は馬鹿だ。

もう一度今度は、細く、君の声。

蝉時雨の中、僕は駆け出した。



19/11/26 21:58更新 / 竹之内進
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