放課後の石鹸を描く覚悟
僕は走る。泣きながら
まるで握ったこぶしから砂が落ちてくよう
少しでもゆるめれば失くしてしまいそうで
大切なものが消える瞬間は
こんなにも突然なのか
限りある人生の時間の中では
全ては選択できないと聞いた事あるけど
この一砂粒は落とさない
怒りなのか悲しいのか
涙が出てきた
君が描いてと見上げた群雲は遥か遠く
それでも笑顔みたくて向き合うキャンパス
君が雲なら、僕は雲と旅する風になりたい
風すら描こうと覚悟を決めて
白布を覆う茜色の入道雲と
雲の下にはあすなろの木を一本
それから、
それからあと一色で完璧。
SOSにも似た君の声
あと一色か。SOSか。
僕は馬鹿だ。
もう一度今度は、細く、君の声。
蝉時雨の中、僕は駆け出した。
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