白亜に眠る
あなたと互い永遠の愛を誓ったあの日から
何一つ与えられないままに病が私を冒す
それでもあなたは愛してると言ってくれた
見舞いに来る時あなたはいつも私に花を
病室に漂う消毒液の臭いを掻き消したのは
他でもなくあなたのその優しさでした
花瓶に挿された一輪のキキョウの造花
あなたが私を思う気持ちを改めて感じ
そしてそれがただ一つ私の心の支えでした
日を重ねて行く中で痩せて行くこの体
あなたが来る日も次第に少なくなって
指折り数えることで寂しさを和らげました
久し振りに見たあなたの笑顔
心なしかぎこちなくて
それでも会いに来てくれたこと
素直に嬉しかったです
「きっと また来てくれるよね?」
隠せない不安にそう問い掛ける私に
俯き押し黙ったままのあなた
その日を境にあなたが来ることはなく
止まない寂しさに行き急ぐ時間
造花のキキョウ「変わらぬ愛」は偽り
褪せ行く花にこの身を重ね
私は静かに目蓋を閉じる
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