母を求めて
並ぶ夜店続く先
神社の境内に佇む少女
藍の鼻緒の付いた下駄
腰に付けた鈴を鳴らし
優しい風に揺れた長い黒髪
仄かに香る桃の香
指に結ばれた朱い紐
行く先は何処?
覗いた手鏡が映し出した面影
微かに残る母の姿頼りに
八月の空に咲く花火の下で
並ぶ灯火進む果て
紐を手繰り後追う少女
愛の証に摘み上げて
作った花の首飾り
海辺の露に濡れた長い黒髪
仄かに香る潮の香
指から途切れた朱い紐
行く先は...
乾いた夜空を照らす蒼い月明り
流した涙 浴衣の袖に隠して
遠く響く祭り囃子の中で
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