解体工事
駄菓子の品揃えが豊富で
故郷の商店を思わせる雰囲気がある
古き良き昭和を伝える店は
再開発が行われる地域で
何人もの子供たちを迎えては送り出して
惜しまれながら閉店する商店は
ここだけではなく
話を聞けば聞くほどそれぞれの記憶のなかに
包まれているのであろうが
当たり散らせる何でも良い物体に当てはまるから
という下衆への逃げ道を急ぐように車両が警笛を鳴らしていて
その先では目の不自由な老婆と
やや俯いて歩む老爺が
手を握っていた
通信技術が精神すら砕く時代に
取り残された精一杯の力でじっと
尊く堪えて動じないさまは
守り続け
歩んできた愛情と
感謝の深さを示していた
飴がもうひとつ
食べ終わった飴がもうひとつ
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