名ばかり神無月

もみじが色づくにはまだ早く
降る陽光は明るく強い

秋とは名ばかり
夏の名残が強すぎて

そんなわたしに
ちょっと待ってと
誰かの声が耳元に響く

涼やかな風が肌を撫で
金木犀の香りを零していった

だって見えるところからじゃ
面白くないからね

くつくつと悪戯っ子のような声は
秋のそれだったのか

足を止めても再びの声は聞こえずに
ただ
道には影が伸びるだけだった

22/01/04 13:12更新 / ねこK・T
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