盛夏の太陽
かつて彼は蝋の翼を背負って
太陽へと飛んだらしい
結果天に弾かれ落ちた彼が
熱に焦がされそれでも
欲したのは何だったのか
アスファルトの陽炎に包まれ
滴る汗と詰まる吐息に塗れ
溶ける頭で彼を思う
木陰に隠れたところで
葉ずれと共に白光が貫くから
思考は常に空回り
彼への思いは纏まらない
盛夏の太陽は私の全てを奪って
楽しげに笑ってばかり
求めたのは何だったのか
彼の答えは聞けないけれど
もし蝋翼があったならきっと
私も空へ飛ぶだろう
全てを奪っていった太陽に
少しでも近づくために
地歩く人を嘲笑う太陽を
少しでも見返すために
TOP