浮舟

白い舟が空を行く
紺青の幕を世界に落としながら

ほろほろと光を零しては
鈴虫に時を告げる
風にはするり
冷たさを一筋混ぜ込んで

琴や白鳥が明るく散らばるも
夜空はやはり
どこまでも深く果てなく
白い舟だけが切り取られたかのよう

まるで私みたいだと
呟いたところで

涼やかに風が笑うだけ
白い月は冷ややかに
ただ秋を呼ぶだけ

君のことなんて知らないと

20/11/15 16:01更新 / ねこK・T
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