凍て緩む
冬の風は冷たく硬く
長袖からちらりと覗く指先を
遠慮なく突き刺す
朝に染まった街の中
だから私はいつも
痛む指先を胸に抱きこんでいた
だけど今日
指に感じる風は緩いまま
棘を無くして溶けてゆく
空気には光が混じり
私の身体を薄白に染め上げた
思わず見上げた梢には
ぽつぽつと赤花が散り
喉を通っていく空気は甘い
冬の後姿は道の向こう微か
春の歩みが私に近づく
23/06/28 10:17更新 /
ねこK・T
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