掌は取り残される
掌には何も残らない
遠く染まる朝焼けも
風に揺れる猫じゃらしも
すり抜けるだけで
遠くへ行くばかりで
私は取り残されるだけで
掌は空(から)だって
知っているから
いつだって握り締めている
でもそれでも空は高く
でもそれでも風は清(さや)か
取り残されるのは
いつだって私ばかり
それでも
掌の内は見ない振りで
悲鳴は押し殺して
涙は喉に飲み込んで
23/06/23 10:32更新 /
ねこK・T
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