てのひらものがたり
遠く近く揺れる青が欲しくて
波間に手を差し入れた
けれど指からは雫が落ちるばかりで
白く光るシリウスが欲しくて
夜空に手を伸ばした
けれど指先は空を掻くばかりで
開いた掌の中はいつだって
何も 何も無かった
それでも覚えている
触れた海はくすぐったくて
肌を撫でる風が冷たかったこと
いつだって世界のかけらは
掌から零れ落ちていくけれど
それでも覚えている
掌にほんの少しだけ残った 私だけの世界を
20/10/23 22:04更新 /
ねこK・T
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