渡り鳥



月の工場で生産された蝸牛が
地表に降り積もっている

渡り鳥の真似が得意なのに
飛ぶことができないわたしを
鳥たちは連れて行ってはくれない

夜明けとともに
蝸牛は溶けてしまうので
月の工場のことは誰も知らない

見ていた人も一緒に溶けていくから
語り継がれることなく
残されたわたしも溶けてなくなる



23/08/28 08:16更新 / たけだたもつ
いいね!感想

TOP
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c