オオイヌノフグリ



他に何もない日
野原にひとつ
屍があった
今にも、ストン
と落ちてきそうな空を
屍はただひとつで支えていた
誰が手向けたのか
頭の近くに
オオイヌノフグリが咲いていた
たとえ屍が融けたとしても
空が落ちないように
孤独な仕事は別のひとつへと
引き継がれていく
他に何もない日に



25/10/01 07:51更新 / たけだたもつ
いいね!感想

TOP
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c