箪笥




箪笥の奥には
凪いだ海がしまわれている
微かに潮の匂いが漂っている
きみは夕暮れの淡い光に
静かなシルエットとなり
折り目正しく丁寧に
洗濯物を畳む
その姿はぼくらの感傷を代弁する
何か一文字に似ている
すべてが終わるときみは立ち上がり
箪笥にしまう
明日という日はこのようにして
繰り返されていく
だからぼくらの下着は
いつも少し湿っている



24/02/11 09:27更新 / たけだたもつ
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