「そこ」

「そこ」には僕や君の生存より大切なことがあります
「そこ」には僕や君の笑顔よりも必要なものがあります
「そこ」は僕や君の涙より優先されるものでいっぱいです
「そこ」に向かうまでの全てが思い出になるとして
ただそれだけで耐え続ける理由になりますか?
今を愛せと唄った鳥は明日殺されて食卓へゆく
全て語れと泣いた君はまだ生きるように眠っている
綺麗事は美しいよ
それを心から信じられる人も
罪悪感に苛なまれながら誰かのためにそれを吐き続く人も
けれどそれで心を潰したくはないから
「そこ」に向かうぐらいならなんて
言えてしまえれば
止まってしまえれば
そう言って今日も歩くよ



19/02/17 16:37更新 / 辻葉冷弧
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