助手席の窓は曇る

灰空の桜は貼り絵みたいで不格好だった。

曇った表情を化かすための、笑顔も、音楽も、

生憎持ち合わせていなかった。

虚っぽに渇ききったままで、

走る車にただ身を任せるしかなかった。

23/03/30 22:23更新 / 辻葉冷弧
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