真綿

消えないように傷を舐めた
優しく優しく痛みをなぞればまた今日の色が滲む
なにしてるんだろってつぶやく

最悪な感情と最低な感傷で息を隠した
あったかいベッドのうえでぜんぶわすれた
別のナニカを思うとき身を刺すような淋しさに焼かれた

匂いのしない言葉は全部消えちゃえ
どうせなんて言ったらさ
叱ってくれるといいのにな

どうしてもおぼろげな体温で思い出すなら涙が融ける
菓子を含んで口内を埋める
カビの生えた心はとりかえる

暖房の設定温度を二度上げた
体感は同じだ
寒い

動きたくない

23/02/08 12:03更新 / 辻葉冷弧
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