水彩

色を水浸しのパレットに殴りつけていく
赤だの青だの黄色だの、もう
そんな綺麗な絵の具は持っちゃいない
むしりとった風景、
かたちをつくれない衝動、
あせきった思い出、
何度も何度もすくいあげては
濁ったパレットに融かす

何色も美しいままの原色を塗りたかっ


いつのこと?

いつかの白が
居心地が悪そうに浮かんだ
斑の灰が
濁ったままの色が
自分でしかないのだから

何度でも似た色を上へ上へ重ねていく
ベタ塗りの未来でも
真っ白より美しいと見栄を張りながら


19/04/26 00:26更新 / 辻葉冷弧
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