痛みの横取り
心に突き刺さった過去のナイフ
それを今度は私が振るってやるのだと
一人の傷付いた私が怒る
咎められない様な血の跡に
誰かが必ず口にする無情な正しさ
「そんなことしたって戻ってこない」
「アナタにそんなことは望まない」
じゃあどうすればいいというの?
この今も沸き上がる痛みと怒りを
塞いでくれない正しさに項垂れたまま
やがて感じなくなるまで黙ってろっていうの?
報われないのに私はただ傷付いたの?
無差別に振り撒きたい訳じゃない
ただこの傷を負わせた主に
この怒りを叩き付けてやりたいだけ
ひたすら奪われて削れた心を
残ってしまった傷跡を零に戻したいのに
「復讐したって何もならない」
「そんなことをしたって誰も喜ばない」
じゃあアナタは傷跡を消してくれるの?
この今も流れ出ている血を啜って
痛みが消えるまで私を抑えて
このナイフを粉々に砕いてくれるの?
誰かが何処かで放った正論をそのまま言うだけ?
まるで私の痛みをお前のモノじゃないって言うみたい
何処かで悲しむ誰かの為に怒りを抑え込めだなんて
代わりにもなってくれない痛みを放っておけって
まるでそう言うみたいじゃない
許せば終わるのは相手だけ
其処に痛みなんてありはしない
許されたという安堵の吐息を漏らすのよ
今も血と傷跡を必死に塞いでいる
正論に首を縦に振らされた哀れの前で
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