留守


心臓が殻を破って
僕の世界からいなくなって
どこか遠いところで
僕は
空っぽに佇んでいる

乾いた風が
胸をくすぐる
心臓が留守にした
部屋をざらりと舐め回していく
錆びついた皮膚の上を
侘しさだけが伝っている

街ゆく人は
潤っている
幸せそうな顔貼り付けて
いいないいなと羨む僕は
一層濁って朽ちていく
腹の底から
肌を震わせ
鳴った夕暮れ
今日はもう帰ろうか

25/09/28 04:04更新 / 細言
いいね!感想

TOP
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c