雨の中で
雨が降る
灰色の空から大粒の雨が地面に叩きつけられるかのように激しく降っている
そんな雨の中をキミは雨具ひとつ持たずに立っていた
なぜ無防備のまま黙って雨に晒(さら)されているのか
そのキミの心の内をボクはわからない
でもずぶ濡れのキミをこれ以上見ていられず
ボクは身を挺して雨からキミを守ろうとした
そしてキミはボクに告げる
“余計なお世話!”と
キミのためにと思ってした善意の行為が
キミを激昂させてしまった
ボクの善意が必ずともキミにとって善意になるとは限らないと痛感させられた
ボクはキミのことをなにも理解してあげられていないのだろう
いや、理解していると思っていたのならそれはただの驕りだ
人が人のことを完全に理解することなど出来るわけがない
だからボクはキミの隣で同じく無防備のまま雨に打たれることにした
こんなことをしてなんの意味があるのか
こんなことをしても無駄なだけかもしれない
でもキミのすべてを理解できなくても
キミが受けているこの雨の冷たさと痛さは知っておきたい
なぜならこれから先もキミの側にいたいから
ずっと ずっと……
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