夢うつつ
泣きそうになる
泣けばきっと少し楽になるはずなのに
誰もいない部屋で他人(ひと)の視線を感じて
平静を装う屁理屈をつけて
また静かに表情を繕う
泣いても現状は変わらない
[君たちはまだ子どもなんだよ]
あの日言われたあの言葉
先生、私はもう大人になれましたか
子どもでいられることに
守られていることに
悦びさえ感じている
もう私は大人らしく生きていかなければならない
昔の、知らない世界へと旅立ち
目に見える不幸や不平等はストーリーの脇役
子どもたちの絶望を知った眼を背景に
快活な少女と恋をする
離れ離れにならないと知って
泣く少女を抱きしめ、僕たちは大丈夫だからと慰める
私は目を閉じて、世の中に対する不満を一つや二つ思い浮かべる
そして目を開けると、成長した君が笑ってる
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