坂の上の風船
目の前に赤い風船を持った少女がいる
彼女にはどうしても伝えなきゃいけないことがある
彼女らしくゆっくりと言葉を紡ぎ出してゆく
最後の一言を発する前、風船が大空に飛んでいった
二人はそれをいつまでも見上げていた
彼女はニッコリと笑い、僕の前を通り過ぎた
その瞬間に僕は忘れかけていたあの故郷の風景を思い出した
鼻をくすぶる優しい匂いも
はぁっと誰かに見せつけるように大きく深呼吸して
堅く閉じこもっていた頬がどさっと落ちた
24/04/20 01:07更新 /
RUI
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