君が好き
僕は願うよ、まっさらでありたいと。
僕は君のことが好きだけれど、
それってとても少しだけ恥ずかしい。
何故なら僕は次を想う人だから。
未来がなければ意味がないと
思ってしまう卑屈な人間だからね。
人として必要な部品を投げ入れられた、
ゴム手袋でもそう思うよ。
夜が来る、そうして僕は死にたくなる。
破裂したその一つ一つが
黒い雨の様相で僕にボツボツと降りかかる。
でもその度君が聴こえてくるんだ。
体温にぬるめられた塩水の中、
僕は生かされたまま眠りについている。
決して確認はできないけれど、
家庭から漂う晩御飯の合図、
サッカーボールを交わし合う瞳、
握り返す手の愛すべき均質のなさ、
それらが君となって僕の耳に伝わる。
君が聴こえてくる。そうすると
僕はゆっくりとゆっくりと目をあけて
地球最後の日を記念日としていた、
シェルターから這い出してくるんだ。
僕はね、思うよまっさらでありたいと。
それはね、君が好きだからなんだ。
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