光れども。
惹かれども光れども指の一寸先
掴み胸に当てても同じ夜
汽笛の音がして吹き返す息
鉄の箱が遂に水面へと浮き上がる
満面のあなたを浴びてゆく
世界の思惑に顔色変えず
腐りゆく物語の端で指を切り
露となった血を舐めてしかめる朝
春の陽に照らされ綻ぶ
どうでもいい点と点と線と
哀しみのふりした有象無象を喰らう
船頭が奏でる永遠のメロディと
湖畔に漂うメランコリー
言葉になれない鳥の聡明さとか
啄まれ死から生へと繋がる肉とか
紅く紅く燃え広がる訃報と
ジュッという音でまた張った糸
惹かれども光れども指の一寸先
だからまだ同じ夜だからまた同じ夜
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