ぼくはいまいますここにいます

雨の牢獄を破り走り出す
踏まれた銀杏が放つのは怒り?嫌悪?

100階建てのビル最上階
ふくよかな体型の老人はソファで目を瞑る
「君の街までもう少しさ」

ぼっちシロクマ鹿児島の喫茶店で友と再会
「でも君もまた僕を孤独にする」

ああ、多分放たれるのは
ふと無視した嫌になるほどの懐かしさ

ぼくはいますここにいます

小鳥の唄は独裁者の元統制される
奇跡の森は妖精ごとホルマリンに漬けられる

そしてそれが当たり前となった世界で
僕は博物館で僕のドッペルゲンガーと会う

ぼくはいましたここにいました

苦しみも悲しみも喜びの上にある
数字はただ痛みの度合いに過ぎない

足しても引いてもただ山になるだけで
僕は登って降りるを繰り返して
気づいたら雪に埋もれて死んでいた。

ぼくはいますここにいますから

「君の街までもう少しさ」
地上から数百メートルの死は
幾らでもファンタジーを書き殴る

雨の牢獄はミルフィーユのように重なり
甘く僕らを殺してゆく

ぼくはいましたここにいました
わだちはのこりませんがふぶきがかたどる
ぼくはいまいますここにいます



24/07/05 17:54更新 / らりるれろ
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