100万回生きる

期待は文字になる
するとすぐ裏切られて
繋いでいた手は裂かれ
ビリビリという擬音が似合う

汗ばむ浴室のささやかなカビを
僕は幸せって呼んでみたい
人の温もりを知った言葉が
いつも輝くとは限らないから

次の僕 次の僕へ
一次審査は無事通過
よかったねー君ならできると思ってた
舌でも潰れる程柔らかい死
そしてまた繰り返される

明日が昨日を連れてきた
桜が雪を連れてきた
雨が口に炎を含んで歩いてく
僕の本当に嘘が混じり出す

この真実が嘘を孕んでたらいいのにな
ってなんて泣いて落ちた涙に
嬉しみが混じり出すことを
「期待」して文字になる
ほら早く裏切ってよ準備はできてる

100万回目のはじめまして
100万回目のさようなら
生きた死んだってこういう事?
案外そういうことなのかも
間違ってたらごめんね

絶望は空気になる
なぜなら初めに痛くなるのは肺
仲違いした不安が手を繋ぎ
口からはみ出る

日々が輪廻だよ
つまりは棺桶でグッナイ
そして朝には隙間から陽の光
ママの声が聞こえてくる

100万回目がキリが良いとか
100万回目がめでたいだとか
カマキリもアメンボも知らんとさ
それでもたまたま今日も生きてる

100万回生きてみよう
話はそれから
101万回目を開いて
100万回目がパタンと閉まる



23/05/07 15:32更新 / らりるれろ
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