少女から大人の女性に変わるとき
私は、いつからこの道を外れてしまったのだろう。
思春期の男女の中で、美しく羽ばたけなかった原因はなんだろう。
小学校高学年になり、女子たちが突然「嵐」に夢中になって
お絵描きと少女漫画を読むのをやめてしまった。
交わされる「恋バナ」からそっと逃げてしまい、男子に混ざって
ドッジボールと秘密基地を作る遊びを続けてしまい、
やがて男子もドッジボールなんてすらやらなくなって、私は取り残された。
修学旅行で女子が髪の毛を乾かす光景がなんとなく嫌だった。
体育の授業後に教室中に漂うシーブリーズの香りと、
合宿で、先生に怒られるリスクを犯してまでヘアアイロンをこっそり持っていき、
巻き髪と編み込みを練習する女子たちを
どうしても受け入れられなかった。
彼女らのお風呂の裸体は、白くて、柔らかそうで、眩しかった。
高校を卒業して新しい道に入ると、女子たちはもう大人になり、
男性といっしょになって、輝きだす。
私はずっと私の世界へ。
子供はいつ、「女子」「男子」に変わるんだろう。
ちゅるりと靡く、長い髪。シャンプーの香り。女の子ってどうしていい匂いがするの?目には見えない女性らしさを纏う。
せっかく女の子として生まれたんだから、全身、頭の先から足の爪先まで
美しさを保っていなきゃ。
男ウケと、女ウケってどうやら違うらしい。女ウケのピンクと男ウケのピンクは
どうしようもなく違うらしい。
綺麗なネイルを塗った指先があんなに色っぽいなんて、私はずっと知らなかった。
アクセサリーを纏った身体があんなに繊細な美しさを持つなんて、私はずっと
知らないでいたかった。
夕焼け色を唇に。自然素材を肌に。
美しさとはなんだろう。シャネルの赤リップ。子供のおもちゃの赤リップ。女性らしさとはなんだろう。
赤リップを拒否しないで。
私は美しい女性がモテることすら知らなかった。
蛹から蝶へ、少女から大人の女性へ。
肉感たっぷりなオンナの身体。あの子はとびきり美人だし、脱がすとさらに凄い。ふわふわの胸、ムダ毛なんて一本もない白い脚、フェチも多い、白いうなじ。
性的なものを拒否してしまった。
ただなんとなく生きてるだけじゃ作れないらしい、オンナの身体は。大人のオンナ。オンナ。オンナ。
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