目の前を見て
駅の階段で目の前の彼女
細やかなグラデーションのシナモンベージュに染められ、丁寧にくるんと巻かれた
艶のある長い髪が魅力的だ
しかし出してる腕には無駄毛が目立つ
少し目線を落とすと
黒いロングパンツはあちこち毛とシワがついてる上に、縫い目もほつれている
私もとても人のこと言えない
髪の毛は櫛を通しただけでボサボサ
靴は磨いてないし踵がボロボロ
シワだらけのシャツで出勤している
それでも生きている
彼女も私も
道ゆく人々みな
真っ直ぐ前を見たまま生きている
どこか不完全な姿で
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