あさりの葬式
あまりにも突発的な事故でした
お葬式をあげる間もなかったし
本当に突然に一つの命が失われてしまって
本人もきっと自分が死んだことに気づいてないんじゃないかな
もしかしたら、本人の周りの人たちさえも気がついてないんじゃないかな
そのくらい突然の事故でした
お葬式をあげる間もなかったし
彼のためにお経を上げてくれるお坊さんも誰もいなかった
彼はきっと自分でも気がつかないうちに
食卓の味噌汁の中に
仲間らと沈み込んでいました
もし神様がいるのなら
こんな小さなあさりも一匹一匹見逃さず
ずっとお経をあげ続けているのでしょう
味噌汁の味噌の中は
全員分のお経の文字で埋め尽くされていて
まるでこの世の「混沌」そのもの
命の重さに全く違いがないのなら
質量が重すぎてとても飲めないよ
世の中には突発的な事故が多すぎるから
青空の上の上には天国という場所があって
空気いっぱいいっぱい、呼吸ができないくらいに
お経の歌声が響き渡っているんだよ
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